コラム
東京オリンピック中止と「プランB」
2020年03月18日
東京オリンピックを楽しみにしていた身としては残念ですが、今夏のオリンピック中止・延期は「決定事項」としか言いようがありません。
東アジアに集中していた新型コロナウイルスの感染は、いつの間にか欧州が中心となってしまいました。イタリア政府は全国で人の移動制限を4月3日まで行うと発表し、ドイツのメルケル首相は3月12日「ドイツの全人口の6〜7割感染もありうる」と発言しました。14日にはフランス政府が生活必需品以外の店舗を全国すべて休業することが決まり、スペインでは非常事態宣言が表明されました。今後、米国での感染拡大も確実でしょう。安倍首相のイベント自粛要請も3月19日まで延長されましたが、再延長はほぼ確実です。
このような状況がいつまで続くのか?難しいですが、シミュレーションしました。中国武漢市が封鎖されたのが1月23日、日本で学校一斉閉鎖が始まったのが3月2日。本格的な対策に一ヶ月半のタイムラグがあります。Worldmeterによると、3月14日時点の中国国内の感染者数は10,714人。ピーク時の約5万8千人から80%以上激減しています。この数字が正しいとすれば、中国の感染はかなり収まっています。
さしもの中国も「安全宣言」は簡単に出せないでしょうけど、武漢以外の中国が正常化するのが4月末という楽観的シナリオを立てることはできます。このシナリオが正しければ、日本が正常化するのが6月中旬。対策が日本より一ヶ月遅れている欧米が正常化するのが7月中旬以降です。
ただ、3月9日の政府専門家会議の発表によると、感染対応は「数カ月から半年、年を越えて続くかもしれない」という意見もあります。そうなると、上記のシナリオ分析などすべて吹っ飛んでしまいます。
仮に楽観シナリオが正しくて日本が6月に正常化しても、その時点で欧米はオリンピック参加表明不可能。国際オリンピック委員会(IOC)が言っている今夏開催決定の期限である5月にも間に合いません。米国と西欧主要国が参加しないオリンピックなどあり得ないから、日本の事情に関係なくオリンピックは中止または延期になる。IOCは3月13日、「開催の可否は世界保健機関(WHO)の勧告に従う」と言い出しているので、今夏のオリンピックはやらないと腹は決まっているのでしょう。
昨年に表明されたオリンピックのマラソン実施都市変更(東京⇒札幌)のドタバタで分かったとおり、オリンピックに関する決定権は日本の実行委員会や東京都知事にはなく、すべてIOCにあります。それにもかかわらず、森喜朗前首相と小池百合子都知事は「五輪中止は全く考えていない」と発言しました。しかも不快感を滲ませて。お二人とも立場上はこう言わざるを得ないでしょうけど、客観的に見て「本当に中止になった時のプランB(代替策)を考えていないのだろうか」と滑稽かつ不安に思います。小池さんは本当にプランBを考えていないように見えるが、森さんの報道発言をよく読むと「中止したくないが、色々と柔軟に考えなければならない」とも付け加えています。老獪な森さんらしいです。
企業トップも同じです。先を見通すことができない大変な時ほど、冷静にプランBを考えなければならない。プランBを早めに公表すると社内外に思わぬ副作用を生むので、内容はトップと限られたスタッフの間で共有すれば良い。いよいよ思い通りに行かなくなった時に、トップがあたふたとするのは最悪です。(小池さんを思い浮かべながら) 「あのトップはプランBを胸に秘めているはずだ」と周囲に思わせることが大事です。トップが日頃から必要な自己演出でしょう。
東アジアに集中していた新型コロナウイルスの感染は、いつの間にか欧州が中心となってしまいました。イタリア政府は全国で人の移動制限を4月3日まで行うと発表し、ドイツのメルケル首相は3月12日「ドイツの全人口の6〜7割感染もありうる」と発言しました。14日にはフランス政府が生活必需品以外の店舗を全国すべて休業することが決まり、スペインでは非常事態宣言が表明されました。今後、米国での感染拡大も確実でしょう。安倍首相のイベント自粛要請も3月19日まで延長されましたが、再延長はほぼ確実です。
このような状況がいつまで続くのか?難しいですが、シミュレーションしました。中国武漢市が封鎖されたのが1月23日、日本で学校一斉閉鎖が始まったのが3月2日。本格的な対策に一ヶ月半のタイムラグがあります。Worldmeterによると、3月14日時点の中国国内の感染者数は10,714人。ピーク時の約5万8千人から80%以上激減しています。この数字が正しいとすれば、中国の感染はかなり収まっています。
さしもの中国も「安全宣言」は簡単に出せないでしょうけど、武漢以外の中国が正常化するのが4月末という楽観的シナリオを立てることはできます。このシナリオが正しければ、日本が正常化するのが6月中旬。対策が日本より一ヶ月遅れている欧米が正常化するのが7月中旬以降です。
ただ、3月9日の政府専門家会議の発表によると、感染対応は「数カ月から半年、年を越えて続くかもしれない」という意見もあります。そうなると、上記のシナリオ分析などすべて吹っ飛んでしまいます。
仮に楽観シナリオが正しくて日本が6月に正常化しても、その時点で欧米はオリンピック参加表明不可能。国際オリンピック委員会(IOC)が言っている今夏開催決定の期限である5月にも間に合いません。米国と西欧主要国が参加しないオリンピックなどあり得ないから、日本の事情に関係なくオリンピックは中止または延期になる。IOCは3月13日、「開催の可否は世界保健機関(WHO)の勧告に従う」と言い出しているので、今夏のオリンピックはやらないと腹は決まっているのでしょう。
昨年に表明されたオリンピックのマラソン実施都市変更(東京⇒札幌)のドタバタで分かったとおり、オリンピックに関する決定権は日本の実行委員会や東京都知事にはなく、すべてIOCにあります。それにもかかわらず、森喜朗前首相と小池百合子都知事は「五輪中止は全く考えていない」と発言しました。しかも不快感を滲ませて。お二人とも立場上はこう言わざるを得ないでしょうけど、客観的に見て「本当に中止になった時のプランB(代替策)を考えていないのだろうか」と滑稽かつ不安に思います。小池さんは本当にプランBを考えていないように見えるが、森さんの報道発言をよく読むと「中止したくないが、色々と柔軟に考えなければならない」とも付け加えています。老獪な森さんらしいです。
企業トップも同じです。先を見通すことができない大変な時ほど、冷静にプランBを考えなければならない。プランBを早めに公表すると社内外に思わぬ副作用を生むので、内容はトップと限られたスタッフの間で共有すれば良い。いよいよ思い通りに行かなくなった時に、トップがあたふたとするのは最悪です。(小池さんを思い浮かべながら) 「あのトップはプランBを胸に秘めているはずだ」と周囲に思わせることが大事です。トップが日頃から必要な自己演出でしょう。